今回はソフトウェアテスト業界の第三者検証会社について紹介するよ!
はじめに
ソフトウェアテスト業界では大きく2つの企業の種類があります。
- 第三者検企業
- 自社開発企業
今回はそのうちの1つの「第三者検証企業」について紹介します。
第三者検証とは?
開発者ではない人が、「第三者の視点から」サービスの品質検証・評価を行うことを言います。
第三者の視点ということがポイントで、当事者(開発者やその会社の中にいる人)では気づかない不具合を検出したり、ユーザーに最も近い立場からフィードバックをすることが出来ます。
上記の「第三者の視点から行うテスト」を主な業務として行っているのが「第三者検証企業」です。
その性質上、IT未経験だからこそ活かせる観点などもあり、IT未経験者が多いのも特徴です。
第三者検証企業での働き方
一般的に行われている業務を「常駐」「持ち帰り(ラボ)」「自社サービス」の3つに分けて紹介します。
常駐
3つの中でも最も行われている業務が「常駐」によるテスト業務です。
会社と会社で契約し「テスト業務を行う人材」を派遣します。
テスト人材が欲しい会社が第三者検証企業に連絡するパターン、第三者検証企業が営業をかけるパターンがあります。
会社同士の契約が行われると、第三者検証企業は適切な人材を選んで常駐させます。
テスト担当者は「契約した企業」へ出向という形で業務を行うことになります。
出向先の規定に則ることが多いため、就業時間、残業時間、働き方も様々です。
業務形態の都合上、
- 出向先によってまったく業務環境が異なる
- 契約に期間がある(更新もあり)
- 契約終了で勤務先が変わる
という特徴があります。
一人で出向することもあれば、複数人で出向することもあります。
常駐先にもよりますが、取引先の企業の方とコミュニケーションを取りながら業務を進行することが多いです。
持ち帰り(ラボ)
自社オフィスで検証環境がある場合、「持ち帰り」でテスト業務を行うこともあります。
会社と会社で契約し「アプリなどを受け取って自社内でテスト」を行います。
常駐と違い、「単発でのテスト依頼」が多いので様々なサービスに触れることが出来ます。
定期的にテスト依頼している会社もあるので、その場合は自社オフィスで決まったアプリのテストを行うこともあります。
自社オフィスになるため勤務先の変更などはなく、「同じ会社の人達と仕事ができる」という特徴もあります。
持ち帰りだけをやっている企業は少なく、常駐人材が不足している場合は「常駐」として出向となるケースもあります。
自社サービス
企業によっては自社サービスを持っている会社もあり、その場合は自社サービスのテスト業務を担当することがあります。
持ち帰り案件では当然「顧客からの要望や納期」があることに対して、自社サービスでは顧客からのそういったものはありません。
当然、目指すスケジュールはあると思いますが、これが「顧客の依頼かどうか」で、スケジュールの柔軟性や納品物も大きく変わります。
常駐、持ち帰りと比べ「自社で開発の出来るエンジニア」を採用する必要があり、自社サービスを持っている第三者検証会社は少ない傾向にあります。
第三者検証企業のメリット・デメリット
いくつかありますが、今回は2つずつ紹介します。
メリット1: 未経験OK
第三者検証企業の大きなメリットとして、未経験採用を行っているということがあります。
IT業界未経験者も多く採用しているため、IT業界で働きたい人にもオススメが出来ます。
未経験者が多いこともあって、基本的なパソコンスキルに不安があってもサポートしてくれるところもあり、当然基本的なテスト業務についても学ぶことができます。
そのため、テスト業界の入り口として「第三者検証企業」を選択することは手堅いと言えます。
メリット2: 様々なテストを経験できる
「常駐」や「持ち帰り」でのテスト業務が主となるため、出向先が変わることやテストするアプリが変わることは多々あります。
その様々なテスト経験ができるということは、プラスになることも多いです。
テスト業務を行っていると、「1つのサービスの知見よりも、様々なアプリの知見や経験」の方が役に立つシーンが多々あります。
様々なアプリや会社での業務を経験ができるからこそ、様々な不具合を体験したり、品質の考え方を学ぶことが出来ます。
これは今後テスト業界で働く上で、非常に貴重な経験になると思います。
デメリット:働く場所の移動がある
常駐の場合、出向先が変わることが多々あります。
それが苦にならない人であればいいのですが、現場が変わるということは意外と負担になります。
会社に近い家に住むことも難しいですし、遠い出向先になってしまうと大変です。
「現在住んでいる家からの距離も考慮してくれる」とは思いますが、そういうこともあると認識しておくと良いでしょう。
さらに、案件ごとに人間関係を再構築しなければならないのも苦手な人には辛いことです。
また、基本的には常駐先の勤務体系などに合わせるケースが多いため、自分の思う働き方ができるかどうかは運要素があると言えます。
デメリット:事務的な自社業務がある
客先に常駐するとはいえ、通常のテスト業務以外にも自社での事務作業が発生します。
多くの第三者検証企業では、会社の帰属意識のために帰社日を設けており、月一などで集会があったりします。
普段から社員がバラバラの現場で働くため、休日にイベントを開催することも多くあります。
自社への報告として、月報や週報といった提出を行う場合もあります。
そういった「事務的な作業」が通常業務とは別に存在し、負担になることは間違いありません。
テスト会社にテストを依頼をするということは、多忙になっていることも多くあり、事務的な作業と合わさり残業が多くなる傾向もあります。
さらに、自分の上長となる人が同じ現場にいないことも多いため、自社からの評価のために「週報や月報、イベント参加に手を抜くことが難しい」というのも事実発生します。
そういった本質とは違う箇所で評価されたり、時間をかけて自社作業をしなければならないため、自分のスキルアップが出来ずに市場価値を上げづらいのは課題の1つでしょう。
さいごに
第三者検証企業について紹介しました。
デメリットはしっかりと理解しておかないと辛いですが、未経験でもIT業界で経験をつめること、頑張り次第ではしっかりテスト業務を身に着けることが出来るので、ファーストステップとして経験を積むのは個人的にはオススメです。
ただし、第三者検証企業に依頼されるテストは比較的ロースキルで出来る案件が多いため、ある程度学んでからはスキルアップに物足りないと思うようになると思います。
第三者検証会社は「人を他の会社に派遣することで利益を得ている」性質上、一定レベルまで行った後は人の管理を求められたり、売り上げを上げるために「人を増員すること」が評価されやすくなります。
結果的に、エンジニアとして頑張りたいと思っている人ほど、評価されづらいといったことは発生しやすくなっており、ずっと働くつもりの場合は注意が必要です。